文系から理系の大学・進路を選択するいわゆる理転する高校生は意外と多いです。
しかし、いざ理転の情報を探してみるととても少ない印象を受けます。
仮に情報があったとしても、「指導者の立場」からであったり「体験談のみ」の理転に関する情報が殆どです。
そこで今回は、実際に理転をした人による具体的なノウハウや客観性のある情報を網羅的にこの記事にまとめました。
各パートにより詳しく個別にまとめたページへのリンクも貼っておきますので、興味のある際はそちらも合わせてご覧になってみてください。
※この記事を書いている私beeは実際に大学受験で理転をして、薬学部に進学した現役の大学生です。理転に関する正確な情報を体験と照らし合わせた上で情報発信をしていますので信憑性はあります。
本記事の内容
- 理転について詳しくわかる
- 理転のメリット・デメリットがわかる
- 理転が成功する手順・方法がわかる
- 理転の体験談がわかる
理転とは?いつまでなら間に合う?
本題に入る前に、一部の私立高校を除き、多くの高校では2年生から本格的に文系、理系に分かれて授業内容が変わると思います。
ですので、この記事での「理転」に関しては、高校2年生以降をターゲットに執筆しているので、1年生の方は部分的にアイディアを拾ってもらえるとお役に建てるかもしれません。
では、本題に入ります。先にタイトルの結論から述べたいと思います。
そもそも理転とは、一言で言ってしまうと文系選択の学生が理系大学・学部に進学することです。(逆の意味を持つものとしては「文転」という言葉が挙げられます。)
一般的に文転に対して、理転は難しいと言われています。
まずは、理転が難しいと言われている以下のポイントを御覧ください。
- 理科応用の独学
- 数学Ⅲの独学
- 学校の文系カリキュラムとの並走
理科応用の独学
これは比較的想像が付きやすいと思います。理系学生が学校のカリキュラムで理科応用(物理・生物・化学)を学習するのに対して、文系学生はそれを自力でこなす必要があります。
選択する理科科目によってその難易度は大幅に変わるので慎重に決めなければいけません。
どの科目が良いかは、以下の記事で理由付きで説明しています。是非ご覧になってみてください。
数学Ⅲの独学
医学部や数学科など、大学学部によりますが場合によっては数学Ⅲを独学しなければなりません。
例外的に数学が得意な人を除き、理転で最も苦戦する科目がこの数学Ⅲであることがほとんどです。
この数学Ⅲですが、実は理系受験生でも不得意なことが多く、それを独学でやるとなるとさらにハードルが高くなることは明らかです。
私は現在薬学部に所属していますが、普通に理系から入学した同期でも「数Ⅲは無理」という方が多い印象です。
学校の文系カリキュラムとの並走
現役生に限った話ですが、文系に所属している以上学校のカリキュラムはこなさなければいけません。特に気をつけたいのが、「大学受験にはテストは成績(通知表)は関係ないから」と学校のテストを切り捨てないことです。
理転を行っていると、そのストレスから受験に必要ない文系を多く切り捨てがちですが、成績(通知表)は少なくとも大学1年生まではダイレクトに響いてきます(奨学金とか)。
安易に赤点を許容せず、学校のことでやるべきことは並にはこなしていたほうが、後から苦労しません。
以上が理転が世間一般に「難しい」と言われている理由です。
では、一体いつまでに理転を決意すべきなのか、具体的な理由と一緒に以下にまとめています。
理転はいつまでに決めるべき?【答え:ベストは高2です】
希望する学部にもよりますが、理転の成功率を最も高くできるタイミングとしては高校2年の夏までです。
ではなぜこれ以降になると難しくなっていくのか、「高2」「高3」「浪人」の順で理転した場合どうなるか簡単に見ていきましょう。
高2から理転が理想的
高校のカリキュラムに多少依存しますが、高校2年生初月までであれば、文系も理系も実は履修している科目や範囲はほとんど同じです。特に数学Ⅲに関しては2年後期〜3年1学期くらいから勉強を始めます。
ですので、ざっくりとですが2年の夏休み前くらいに理転を決断し、独学が必要な「理科」の勉強を始めると、理系学生と大差ないスタートをきることができます。
他にも、詳しく知りたい方は以下の記事を参考になさってみてください。高校1〜2年生向けの記事となっています。
高3から理転成功は条件次第
高校3年生の4月以降に理転を決意している人は現役で合格するには勉強のスピードアップが必要です。
特に早急に取り掛からなければいけないのはやはり「理科」です。
その他にも、条件によっては思っているほど焦らなくていい場合もありますので、以下の記事をまずはご確認なさってみてください。
浪人から理転は策略が必須
浪人して理転を初めてやる場合はそれなりの対策が必要です。単に予備校の理系クラスに通えば良いと思っていると非常に痛い目に合います。
多浪をできるだけ回避するには、以下のポイントをおさえていてください。
- 英語は極める(最低8割)
- 理科はできるだけ生物を選択
- 数Ⅲは分野を絞る
狙う大学、学部によりますが、まず共通して言えることは英語は絶対に高得点を取ることです。共通一次であれ、2次試験であれ、最近はどの学部でも英語の配点は大きいです。特に医療系の学部は入学してからも論文などを読むために英語を頻繁に使うため、受験を機に勉強しておいたほうが良いです。
また、別の記事でも紹介していますが、理科の選択科目は自由に選択できるのであれば「生物」がおすすめです。
数Ⅲに関しては2次試験の配点が大きなところで無い限り優先度は他のものよりも下がります。(難易度が高いため)
まとめると、英語は高得点を狙い、他の理科、数学は標準的な点数を取るということです。
理転のメリット・デメリット
ここからは理転するメリット・デメリットを具体的にご紹介します。
理転するメリット
早速、以下にメリットをまとめました。
- 就きたい専門職に一歩近付く
就きたい専門職に一歩近付く
理転をするほとんどの理由は、その専門職に付くためです。
例えば、医師であれば医学部卒業が、薬剤師であれば薬学部卒業が国家試験の受験資格として必要です。そういった職に就きたいのであれば対応するそれぞれの地形学部を卒業するほかありません。
反対に上記のような卒業条件が無いのであれば理転はやめたほうがいいです。
例えば良くあるものがプログラマーです。最近はプログラマーの需要がかなりあがっていますが、「プログラマーになりたいから情報学部に理転する」は安直すぎます。
実際のところ個人的にオンラインスクールに通ったりすれば、文系理系関係なくプログラマーになれます。私自身薬学部ですが長期休みを利用してプログラミングを勉強しある程度実務ができるくらいにはなりました。(詳しいことは以下に記事を貼っておきます)
本筋に戻すと、プログラマーに限らず、理転はゴールにたどり着くために絶対に必要でない場合以外はやめたほうがいいです。
その理由は次に上げるデメリットを見てもらえるとわかります。
理転するデメリット
大きなデメリットは以下の3つです。
- 大学での英語力向上は期待できない
- 大学の授業についていくのが大変
- 浪人の可能性は上がる
大学での英語力向上は期待できない
医学部は例外ですが、基本的に大学では理系学部は選択した専門科目の勉強で忙しいため、英語は後回しになってしまいます。(大学の方針にもよります)
詳しく説明すると、高校で学んだレベルの英語をもう一度勉強し直す程度のレベルの英語の単位しかない状況がほとんどです。英語が好きで大学でも沢山学びたい方にとってはレベルが低く感じてしまうことは多々あります。
実際私も留学などの経験もあり、英語は普通の人より得意でしたが、現在は文系の大学に進学したクラスメイトたちには全くかないません。理転には、英語力を維持・向上させるには、何かしら対策を打たないといけない手間がかかるデメリットがあります。
大学の授業についていくのが大変
理転したことによるハンディキャップは、大学進学後もダイレクトに響きます。
何しろ理転する方の多くは、理系選択の高校生が3年間かけて勉強してきた理科や数学を、それよりも圧倒的に少ない時間しか勉強してきていないから当然です。
受験生のときは受験が終われば理転が終わると錯覚してしまいますが、実際には大学でも苦労します。大学生活を勉強だけでなく、サークル活動や課外活動などにも力をいれていきたい方は、本当に理転すべきか考え直したほうがいいかもしれません。
理転して後悔はないのか?そうした疑問を持っている方は以下の記事もオススメです。
浪人の可能性は上がる
最後の1つは言うまでもありませんが、理転は浪人のリスクが上がります。結果的に大学進学した後には浪人の経験は糧になりますが、どうしても現役でないといけない理由などがある方には第二、三志望などの後道を残しておく必要があります。
浪人生向けの詳しい情報は以下に別でまとめていますので、興味のある方はそちらもご覧になってみてください。
結局どっちがいいの?理転する?しない?
メリット・デメリットの数からも推測できると思いますが、結論として理転はやらなくて済むのであればやめたほうがいいです。
メリットに対してリスクが大きすぎます。
そうとは言ってもやはりこの記事をここまで読んでくださった皆さんの多くは、理転しなければつかめない将来の夢がある方がほとんどだと思います。
次の章では、確実に理転を成功させるためのアクションプランを2つの観点に分けながら見ていきましょう。
理転を成功させるためのアクションプラン
理転を成功させるためのアクションプランを「勉強」と「生活」2つの方向から見ていきましょう。
理転するアクションプラン【勉強編】
まずは勉強編からです。学年や、個人の成績にも左右される部分も多くあるため、1アイディアとして参考にしていただけると嬉しいです。
- 英語・国語・数学を固める
- 理科の勉強は記述で行う
- 独学は1人でやらない
順番は特に決まりはありません。それぞれの項目についてもう少し詳しく見ていきましょう。
英語・国語・数学を固める
共通一次がある方はもちろん、2次試験でもこれら3科目が含まれている方は優先的に対策していきましょう。
この3科目は配点が高いこともそうですが、高校1年生の頃からずっと学習してきている科目ですので勉強時間としては他の受験生と差がつきにくいです。つまり、理解してモノにすることで安定して総合点を高く維持できるようになるため重要な科目になります。
理転に限らず、「高3の夏までに国数英をかためるべき」という意見にはこうした理由があります。
理科の勉強は記述で行う
理転で理科の学習をする場合、より効率的に勉強するためには「記述」での学習がおすすめです。記述式の問題に取り組めば、理解していない問題は手が動かなくなるので1発でその見分けがつきます。一方マーク式はまぐれでもあたってしまうため、「できた感」はありますが、実際の理解度には比例しないこともあるので主軸の勉強法としてはオススメしません。
別の記事で詳しい理転の勉強法や、おすすめの予備校・通信などの情報をまとめています。
理科科目それぞれのオススメ参考書の記事と合わせてご確認ください。
記事準備中
独学は1人でやらない
理転には「独学」がつきものですが、1人で全部進めようとしてはいけません。
それはどういうことか、分かる人に質問・プランニングの相談をするということです。
参考書などの学習教材は、たしかに試験範囲に関する情報源としては精度が高いですが、それだけでは限界があります。
担任の先生、予備校の先生あるいはメンタリング付きのオンライン学習教材など、何でもいいですが自分自身を客観的に見てくれる他者とでなければ理転を成功させるのは相当難しくなります。
理転するアクションプラン【生活編】
続いては生活面での話に移ります。メンタル的なことも含んでいますので、読んでいて損はないかと思われます。
- 周りの理解は不可欠
- 消極的努力はやめよう
- 自宅以外で勉強するのがオススメ
周りの理解は不可欠
デメリットでも述べたように、理転は浪人するリスクを高めます。特に両親には、経済的な面でも理解を得てもらわなければ、後々大変なことになります。(私の直接の知り合いでは無いですが、理転して浪人した際に両親から「もう理系はダメ」ということになり文系の勉強をし直した人もいると聞いたことがあります)
理転するのであれば現役のことだけでなく、もしも浪人した場合の話も明確にしておく必要があります。
消極的努力はやめよう
理転に限った話では無いのですが、時々学力を上げるために〇〇をやめると宣言している学生を目にします。
私はこれを「消極的努力」と言っているのですが、これはおすすめしません。理由は簡単で、何かをやめたからと言って学力が上がることは無いからですあくまで、やめた時間を使って勉強をした際に学力が上がるというのが本質です。その部分を見失って、「やめる」ということだけに集中しすぎないようにしましょう。
スマホや漫画、ゲームなど、受験生の誘惑は沢山ありますが、自分にストレスがかからない程度に、勉強とのバランスを見つけることが重要です。
自宅以外で勉強するのがオススメ
個人的にですが、勉強は自宅以外がおすすめです。塾の自習室や、図書館はもちろん、お金はかかりますがコワーキングスペースなどもあります。
自宅以外にするのには理由があり、受験は家ではできないからです。完全に自分の勉強空間を作れてしまう家の寝室などでは、受験本番周りのノイズに戸惑ってしまう可能性があるため、慣れておくことをおすすめします。
以下の記事でも理転を成功させるための具体的な対策をまとめていますので、興味のある方は是非一度御覧ください。
【体験談】文系から薬学部へ
最後に、私自身の体験を述べて終わりにしたいと思います。
私は高校では留学をするため、英語を中心に学べる語学科に進学し、当初の目標である留学にも1年派遣されました。
留学に行くまでは、語学を中心に職を探していたのですが、ある程度英語が話せるようになると、英語はコミュニケーションツールとして使いたいだけでであると気づきました。
帰国後、医療に興味があったため薬学部進学に向けて理転することを決意しました。
英語は最低でも8割はキープできていたため、理科と数学の勉強に専念できました。結果としては、浪人はしましたが目標としていた薬学部に入学できました。
このような経験をもとに、もっとうまくできていた部分、うまくいった部分それぞれをまとめて、今回理転に関する記事を執筆しました。
他にも理転に関する記事は色々あるので興味のあるものから勉強の息抜きがてらご覧になってみてください。