文系から理系に転向するいわゆることを「理転」といいます。
理転の難易度は目指す大学や学部によって大きく変わりますが、今回は理転して薬学部に入れるのか?についてまとめました。
客観的な情報だけでなく、現役の薬学部生の視点から見た情報もまとめています。
※この記事を書いている私beeは実際に大学受験で理転をした現役薬学部生です。理転に関する正確な情報を体験と照らし合わせた上で情報発信をしていますので信憑性はあります。
本記事の内容
- 理転して薬学部に入る難易度がわかる
- 理転して薬学部に入る注意点がわかる
- 文系から薬学部に入るための方法がわかる
文系から薬学部受験する難易度は?
先に結論から述べたいと思います。
文系から薬学部に進学することは可能であり、そこまで難しくありません。
ただし、特定の国公立や有名私立の薬学部はかなり難しいです。あくまで、「どこかしらの薬学部に入る」という条件であれば難しくは無いという意味です。
では、その具体的な理由を以下のポイント別に見ていきましょう。
- 私立の薬学部が狙い目
- 数学Ⅲがいらない可能性
- 理科は化学だけ
理転して薬学部に入りたい方に最もオススメな選択は「私立薬学部受験」です。その理由として真っ先に挙げられるのは、勉強範囲の縮小ができるからです。
理転する学生にとって、学習面で最も難しい問題は「膨大な独学範囲」です。特に共通一次を利用する国公立薬学部などの場合、理科だけでなく、国語・数学・英語・社会までついてきます。大学によっては、理科も1つでは無く、2つも応用範囲の理科を勉強しなければならないでしょう。
その点、私立薬学部は「英語・化学・数学(Ⅲ以外)」のⅡ次試験(一般試験)であることが殆どです。つまり、実質化学だけ独学すればよいことになります。また、理転の最高難易度である数学Ⅲを避けられるのも大きなメリットです。
私立薬学部の2次試験で数学・化学・英語を頑張れば受かる
薬学部以外にも、共通した理転の成功例・失敗例を具体的に知りたい方は以下の記事をご参考ください。
ただし、どこでも点数的に入れる薬学部であれば良いというわけではありません。次の章でその理由も合わせてご紹介します。
【注意点あり】理転する際の薬学部の選び方
全国にある薬学部は何処にいっても同じわけではありません。ざっくり分けると、薬学部は以下の2パターンに分けることができます。
- 薬剤師を目指す薬学部
- 薬の研究をする薬学部
先に結論を述べておくと、理転する学生には「薬剤師を目指す薬学部」がオススメです。
ではそれぞれの薬学部のメリット・デメリットを見ていきましょう。
薬剤師を目指す薬学部
メリット
- 薬剤師国家資格に受かりやすくなる
- 私立にも多い
薬剤師国家資格に受かりやすくなる
薬剤師国家資格は薬学部に通ったからと行って必ず合格できる資格ではありません。むしろ、2023年の合格率は69%です。ざっくり計算すると、この数値は6年間薬学部で勉強してきた人5人のうち1.5人は不合格であることを意味します。
低いと捉えるか、高いと捉えるかは人それぞれですが、同じ6年制のカリキュラムの医学部の合格率が91%(2023年)であることと比較すると、低い印象を受けます。
つまり、確実に国家資格に受かるのであればこの資格合格に力を入れている大学に入学するべきです。特に、国公立だからといって国試合格率が高いとは限らないため、確実に下調べは行ってください。
参考までに2023年時点での大学別薬剤師国家資格の合格率を掲載しているページのリンクを掲載しておきます。
私立にも多い
上記に掲載したリンクをご覧になったからはお気付きかもしれませんが、私立薬学部にも国家資格取得に力を入れている大学は多くあります。
そして以外なことに、国試の合格率が高い大学であっても入試時の偏差値はそこまで高くない(50くらい)の大学もあります。
元文系というハンデがある以上、目的が「薬剤師になること」であれば大学のネームバリューよりもそういった「入りやすさ」を攻略することが重要です。
デメリット
- 研究熱心なゼミが少ない
- 留年率が高い
研究熱心なゼミが少ない
やはり国家資格の勉強が第一優先であるため、研究に力を入れているゼミは少ない傾向があります。すべての大学のゼミを調べたわけでは無いので、断言はできませんが、そのあたりが気になる方は、調べたい大学薬学部のホームページを検索し、各研究室の年間で発表している論文の数を確認してください。
この論文数が多い研究室ほど、研究が盛んなことを意味します。
留年率が高い
やはり大学側からすると、国家資格の合格率を売りにしている以上、絶対落ちる生徒に受験されて合格率を下げるのは避けたいところです。
その結果引き起こる現象が定期試験による足切りです。国家資格に受験する以前に、学校での学力到達基準を高くすることで、最終的な国家資格の合格率を上げることができます。その代償に、留年する生徒が多くなる傾向があります。
薬の研究をする薬学部
メリット
- 早く研究室に配属される
- 論文で名前が載ることもある
早く研究室に配属される
研究はいろいろなスタイルがありますが、薬学部で行われている研究の多くは1年以上の長いスパンをかけて行うものです。
そのため、早く研究室に配属する(3年くらいから)ことで、研究活動をより深いレベルで行うことができるようになります。
配属の学年は、大学によってそれぞれですので、必ず確認するようにしましょう。できるだけ早く研究室に配属される方が研究をしっかり行えます。
論文で名前が載ることもある
テレビなどで「有名科学誌に掲載!」などとありますが、実はあれはやり方によっては大学生でも不可能なことではありません。大学で研究をしていると、必ず論文を発表します。研究が盛んな研究室ではグループ単位で研究し、年に何回か論文発表を行うことがあります。
中には、学生だけでなく教授陣も含めた研究論文もあるので、そういった論文がいわゆる「化学論文誌」に掲載されることもあるのです。
研究実績を残したい方は、そういった研究熱心な薬学部がオススメです。
デメリット
- 薬剤師になれない可能性もある
薬剤師になれない可能性もある
年々薬剤師国家試験は難しくなっていると言われています。そういった中、研究で忙しい薬学生は十分に対策がとれないということは珍しくありません。
研究がしたいのか、薬剤師になりたいのかよく考えて大学は選びましょう。
理転する学生には「薬剤師を目指す薬学部」がオススメ
研究が特にやりたい場合を除き、国家資格合格を目指した大学選びがおすすめです。理由をまとめると以下のようになります。
- 研究は薬学部じゃなくてもできる
- 奨学金の問題
- 薬剤師は地方では不足
製薬会社などに入るため、研究に性を出す薬学部の学生は多いのですが、実際のところ薬学部卒だからといってそういったハードルの高い就職先に入りやすくなるかと言われると、実際そうでもありません。
また、私立などの薬学部は高額な学費になるので、奨学金が必要になることは多いです。
現代では薬剤師の数が過剰という噂もありますが、それは都心部に限った話で、地方ではまだまだ薬剤師不足が深刻な問題で、人材集めのために奨学金の返済を肩代わりする病院・薬局も多いです。
そういった観点から、折角薬学部に入るのであればより薬剤師になりやすいところを選んだほうが良いというわけです。
【まずはこの3つ】文系から薬学部へ入るためにやること
最後に薬学部へ理転するためにまずは取り掛かる事を具体的にご紹介したいと思います。
志望大学によっては必要ないこともあるかもしれませんので、参考として見ていただけると嬉しいです。
- 志望大学を決める
- ①で決定した大学の過去問を取り寄せる
- 2次試験向けの英語の勉強
志望大学を決める
受験生は言われなくても志望校は決めているかもしれませんが、まだ決まっていない高2の学生でこれから理転をして薬学部進学を考えている方は、私立を含めて大学をリサーチしてください。
薬学部は、大学によって結構受験科目や、難易度、そして学費にばらつきがあります。
ですので、選択する大学によって、理転する方は独学する科目の個数が左右されるため、全部含めて自分が進学できるかを検討し、そこにフォーカスした対策が必要です。
高2だけど理転の勉強を始めるべきか迷っている方は、こちらの記事を一度ご覧になってみてください。
①で決定した大学の過去問を取り寄せる
例え高3や浪人生でなくても、過去問は早めに取り寄せてください。特に、化学の問題に関しては大学別で癖がかなり変わってくるので闇雲に勉強するのではなく過去問ベースで対策していくのが近道です。
私立の大学などは、赤本ではなく独自で出版していることもありますので大学の公式HPでご確認ください。
2次試験向けの英語の勉強
理転を勧めていく上で主軸に勉強してほしい科目は英語です。殆どの大学は英語を受験科目として課しており、配点もそこそこ高く設定されています。
文系の強みはやはり文系科目ですので、他の理系学生とここで一気に差をつけておくのがおすすめです。
以下の記事では、ここでは紹介しきれなかった理転のノウハウをまとめています。確実に理転を成功させるためにも是非一度目を通して見てください。